電子化と生成AIで研究知見を“活かす”仕組みを実現

概要

背景・課題

  • 社内の研究技術情報が紙媒体と電子媒体の2つで管理され、情報検索に時間がかかっていた
  • 蓄積された研究技術情報を迅速に活用できず、研究開発業務の効率化が課題

検討施策・実行プロセス

  • Y-BASEコンサルタントが現場を訪問し、業務プロセスや情報管理の現状をヒアリング
  • 紙媒体の電子化と生成AI(RAG※1機能)を組み合わせた仕組みの導入を検討
  • Y-Cloud※2の生成AIサービス※3で試行的に仕組みをつくり、まずは一般既知データで効果を検証
  • 一定の効果が認められたことから、本格的に生成AIサービス※3を導入
  • 全社的な業務DXによる生産性向上に向け、生成AI活用ワークショップを開催

成果・今後の取組み

  • 「調査検索」「資料作成業務」における業務効率化が進展
  • 各課にDX推進のキーマンを配置し、更なる生産性向上をめざす

企業紹介

東ソーのロゴ

  • 東ソー・ファインケム株式会社
  • 業種:化学メーカー(研究開発・製造)
  • 導入部門:研究開発部
  • 企業URL:https://www.tosoh-finechem.co.jp/

背景・課題

東ソー・ファインケム株式会社様では、長年にわたり蓄積してきた研究技術情報が紙媒体と電子媒体で保存されており、必要な情報を探すのに時間かかるという課題を抱えていました。
過去の研究技術情報がすぐに参照できないことで、重複調査やナレッジの再発見に時間を要するなど、研究開発のスピードにも影響が出ていました。

「研究技術情報をもっと活用できるように整理したい」という声をきっかけに、研究開発業務の効率化を目的としたコンサルティングがスタートしました。

検討プロセス
・実行施策

Y-BASEコンサルタントが現場の実情を正確に把握するため、研究開発部を訪問し、業務の流れや情報管理の現状をヒアリングを行い、課題の整理と改善の方向性を一緒に検討しました。

その中で生まれたのが、「紙媒体の完全電子化」×「生成AI(RAG※1機能)」を組み合わせる構想です。
紙媒体の研究技術情報を全て電子化し、生成AIで検索できるようにすることで、過去の研究知見を“瞬時に引き出せる”環境をめざしました。
Y-Cloud※2の 生成AIサービス※3を試験的に導入し、まずは一般既知の技術資料や製品カタログ等を用いて効果を検証しました。
AI-OCR※4の識字率高さ、検索性や回答精度の高さを実感していただき、研究開発部を中心に導入価値を評価いただきました。

全社的な取組みへ拡大

研究開発部での成果を踏まえ、実装にあたっては全社的な生成AI活用を見据えた体制づくりを開始しています。
各セクションに生成AI推進担当者を定め、マニュアル整備や利活用ルールの策定など、
“現場主導でAIを使いこなす文化づくり”に取組んでいます。

生成AIの利用促進・定着に向けた取組みの一環として、Y-BASEコンサルタントとともにワークショップを開催しました。
研究開発部だけでなく社長を含む経営層や生産本部、管理本部など多くの部署から約60名の方にご参加いただきました。
ワークショップでは、全社的な生成AIの推進に向けて各業務における課題を整理し、生成AIによって業務改善が見込める業務の特定後、アイデア整理を行いました。
約130個の業務に生成AIが適応でき得る可能性を見出し、実業務で活用することで業務効率化に向けた取組みを進めています。

成果・今後の取組み

「調査検索」「資料作成業務」における業務効率化が進展

<効率化事例>
  • 膨大な研究技術情報からの迅速な情報検索(約60分/件削減)
  • 研究テーマ関連情報のチャットボット化による技術伝承
  • 特許、外国語文献の要約による読込時間短縮(約110分削減)
  • 契約書内容のリスク/チェックポイント洗い出し(約40分/件削減)
  • スライド資料作成(要約、構成考案、スライド内容提案)(約55分/件削減) など

今後は「全社的なDX推進に向けた生成AIの普及・教育活動」を実施

東ソー・ファインケム株式会社様では生成AI活用による生産性向上を中心としたDXの取組み推進に向けて各課にDX推進キーマンの配置検討など「全社的なDX推進に向けたDX知見の普及・教育活動」を進められています。Y-BASEも生成AI活用をさらに業務プロセスに組み込むためのテンプレート化や活用事例の展開等、更なるDXや業務改革をご支援していきます。

お客さまの声

本サービスはユーザー単位でのカスタマイズ性に優れ、汎用的な用途から特定の業務に特化した場面まで、幅広いシーンで活躍しています。
また、OCR+機能(AI-OCR※3)は印字・手書きどちらも識字率が非常に高い点が魅力です。画像形式で電子化された過去資料でも効率的に検索できるようになりました。

本サービスにおける大きな特徴は、ユーザーインターフェース(UI)がシンプルかつ直感的である点であると考えています。弊社内では対話型生成AIに慣れ親しんでいない社員も多いですが、まずは触ってみるという心理的ハードルを下げてくれた要素であると思います。わかりやすいUIが生成AIの社内普及に重要だと感じました。

 
 

※1:RAG(Retrieval‑Augmented Generation/検索拡張生成)とは、生成AIに外部の情報を検索して取り込み、根拠に基づいて回答の精度を高める技術です。

※2:Y-cloudは、Y-BASEが整備したコンサル・技術サポート用のセキュアな閉域クラウド環境です。Y-Cloudではデータ可視化やデータ分析、ローコードアプリ開発などのツール群に加え、Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud Platformといった3大メガクラウドが利用可能です。詳細はこちら(https://note.com/digitech_ymg/n/n850441f5c36e)

※3:生成AIツールについては、NTTスマートコネクト株式会社提供の生成AIサービス(https://cloud.nttsmc.com/smcgai/)を準備しております。

※4:OCR(Optical Character Recognition/光学文字認識)とは、PDFや画像に含まれる文字を認識し、デジタルのテキストデータに変換する技術です。 AI-OCRとは、従来のOCRにAI技術を組み合わせることで、文字認識の精度が飛躍的に向上した仕組みです。これにより、電子化と同時に高精度なテキスト抽出が可能になります。

相談者 東ソー・ファインケム株式会社 様
カテゴリ
目指す姿
生産性の向上
ソリューション
/サービス
AI・生成AIペーパレス化
DXコンサル・施設見学のご予約はこちら